ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-

内容はハードボイルドな探偵物。
話自体はシンプルだが、その卓越した画力に驚かされる。
基本的なデッサンは当然のこと、表現力が物凄い。
パースは完璧に取られており、背景もきちんと描き込まれていて、キャラクターの表情、動きはスムーズに頭に入ってくる。


日本の漫画家でもここまでのものを描けるのはメジャーシーンでは数えるほどしか居ない気がする。
多くの漫画家やコミックアーティストが全身全霊をもって作品を描いていると想いたいが、この荒廃する近代社会の中で私個人が彼らの送り出す作品に心から求めているのは、鬱憤晴らしの暴力や幼稚な性衝動の捌け口ではなく、このブラックサッドにある様な人生や命への直向な愛情なのだと思い知らされた。
故に私は、私と同じ思いを抱える全ての人にこの作品をお勧めしたい。


今から読む幸運なあなたは、これをふまえて、先入観をたっぷり持って「さーて、どれほどのものやら」とナナメにかまえて読んでみるのがいいナナメにかまえて・・・それでも多分、やられる。
そして、そこに悔しさはない。
満足と至福のため息だけが、待っている。


ストーリーの方もスリリングで面白いです。
フランスのコミックとは思えないくらいに自然な訳でグイグイとブラックサッドワールドに引き込まれて行きました。
シリーズで集めたいちょっと素敵な大人向けのコミックです。


そしてブラックサッドをつけまわす謎の刺客はとかげ。
人間の絵よりもしっくりくるんですこれが。
(警察官は犬ばっかりですし笑)それでいてきちんと動物であることも生かした台詞が楽しい。
次回作もでるらしいので今から楽しみです〜