機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〈上〉 (角川文庫)

一人はテロリスト一人は娼婦一人は軍人この全然接点の無い三人が地球行きのスペースシャトルに乗ることによって出会い運命が変わっていきます。
三人とも自分の今の現状に不満を持ちながらも生きていたのが互い互いに影響しあい相手の立場に気付かず惹かれていくのですが・・・。
初めて出会った人間の何気ない言葉で運命が変わるということをこの小説で痛感した。
三人が出会わなければ三人とも傷つかずに済んだのか三人が出会わなければそのまま自分の道に歩み続けていたのかしかし三人は出会ってしまったのである。


…彼はガンダム乗りの中で連邦政府の中核に一番ダメージを与えた人物なんじゃないだろうか>マフティー ナビーユ何故彼をそこまで駆り立てるのか。
答えはこの小説の中にある。
星五つ。




しかしまぁこれ程支持されるテロリストは珍しいですね。


もちろん常人には理解しがたい世界観は健在ですが。
主人公のハサウェイは、ラスト以外はそんなに目立たず、むしろギギとケネスがこの物語を形成してるように思えました。
搭乗機のクスイーは、正直初めは、これってガンダム?って感じだったけど、読み終わる頃には、なんか渋くて、カッコいい。
ミノフスキークラフトを噴かす姿を是非動画で見てみたい。

機動戦士ガンダムハイ・ストリーマー〈2〉クェス篇

2巻目は、ゼダとアムロの勝負からです。
私的にはかなり期待をしてたのですが結構あっさりしてたので・・・ちょっと残念でした。
この巻の見どころはやはり「つなぎ」の部分でしょうか。
1巻はバリバリ別次元的な話でしたが、2巻の中盤でいよいよ劇場版と話がつながりますね。




しかし1巻で活躍したゼダやカニンガム、アリョーナといった小説オリジナルキャラがあまり出てこなくなったのが残念でした。
劇場版を見た者としては補足にはなるのですが、いまいち新鮮味に欠ける内容でした。
富野氏のガンダム小説は映像作品の展開と大幅に異なることが多いので、それを期待していたというのもあります。


アムロ中心で、シャアとクエスがちょっと入ってくる感じ。
MSもまだ未完成だらけで、アムロは「ゼダ」、シャアは「プロトタイプサザビー」です。
エスの話でインドでの雰囲気が分かり、クリスチーナって誰?みたいな疑問にも答えが?(笑)もちろん新キャラも登場。


富野さんの描きたかったものを受け入れたい人は受け入れる。
そんな作品だと思う。

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-

内容はハードボイルドな探偵物。
話自体はシンプルだが、その卓越した画力に驚かされる。
基本的なデッサンは当然のこと、表現力が物凄い。
パースは完璧に取られており、背景もきちんと描き込まれていて、キャラクターの表情、動きはスムーズに頭に入ってくる。


日本の漫画家でもここまでのものを描けるのはメジャーシーンでは数えるほどしか居ない気がする。
多くの漫画家やコミックアーティストが全身全霊をもって作品を描いていると想いたいが、この荒廃する近代社会の中で私個人が彼らの送り出す作品に心から求めているのは、鬱憤晴らしの暴力や幼稚な性衝動の捌け口ではなく、このブラックサッドにある様な人生や命への直向な愛情なのだと思い知らされた。
故に私は、私と同じ思いを抱える全ての人にこの作品をお勧めしたい。


今から読む幸運なあなたは、これをふまえて、先入観をたっぷり持って「さーて、どれほどのものやら」とナナメにかまえて読んでみるのがいいナナメにかまえて・・・それでも多分、やられる。
そして、そこに悔しさはない。
満足と至福のため息だけが、待っている。


ストーリーの方もスリリングで面白いです。
フランスのコミックとは思えないくらいに自然な訳でグイグイとブラックサッドワールドに引き込まれて行きました。
シリーズで集めたいちょっと素敵な大人向けのコミックです。


そしてブラックサッドをつけまわす謎の刺客はとかげ。
人間の絵よりもしっくりくるんですこれが。
(警察官は犬ばっかりですし笑)それでいてきちんと動物であることも生かした台詞が楽しい。
次回作もでるらしいので今から楽しみです〜

枕草子

まんがで読む古典 1 枕草子 (ホーム社漫画文庫)

まんがで読む古典 1 枕草子 (ホーム社漫画文庫)

以前 本を読んだ時は、「面白いけど古典は古典」という感想でした。
最近、ある方が「枕の草子には人生が詰まっている」とおっしゃっていたので、あらためて読んでみると、むかーしのお話には違いありませんが、「なんだ、この時代の人達も今と似たようなものなんだなぁ」と、非常に親近感が湧きました。


しかし、読んでいるうちに「あれ・・いつになったら前フリ終わるのかな!?」と思っていたら終わらないので、辞書で調べてみると「随筆」とわかりました。
この漫画はギャグ少女漫画っぽい感じで・・・清少納言が「ナゴンちゃん」って呼ばれていました。
実際そう呼ばれていたのでしょうか?ギャグ風っぽい絵であり、そこに脚色したとあるので、どこまでが本当でどこまでが脚色なのかわけがわからなくなりました。




早速読んで見ると、初めは昔観たアニメと少しイメージが違うではないか・・と思っていたのですが読み進めているとこれはこれでいいなぁーと感心しました。


私は「枕草子」が大好きで、田辺聖子さんの「枕草子」を愛読しているが、この本は、絵もかわいいし、藤原伊周がかーなーりーカッコよく書かれていて、「うわー」と思ってしまった、いい意味で。
清少納言は卓越した感覚の持ち主だと私は思う。
この頃の彼女のセンスが、1000年経っても変わらずに「あ、その感覚、いいね!」と思えるのだから。
古典が苦手な人でも、この「枕草子」ならきっとあっさり読めるはず。

羅生門

羅生門 (まんがで読破)

羅生門 (まんがで読破)

この本に収録されている『藪の中』の謎は、実に興味深い。
●取り敢えず、武弘が刃物で刺され死に、真砂が手ごめにされ、多襄丸が捕まった事に変わりはないと。
●無論、木こりや旅法師、巫女に放免が犯人である可能性もあると。
●最も、巫女が武弘の霊魂を連れてくるといったって、それは不確かな要素なのだから、一番信憑性に欠ける。


蛇足と感じる人もいるかもしれませんが、こういった描写がされているのは非常に好感が持てました。
このまんがを読んで原作の方も読んでみたのですが、教科書で読んだのとはまた違っていてこれも非常に面白かったです。
原作に触れる良いきっかけになった作品でした。


漫画での見せ方が実に効果的です。
そもそも小説って、本質だけを端折っていくと、実は数ページで足りるはず。
いや、極端なことを言えば1行でも足りるものもあるだろうから、この漫画の適度な圧縮の仕方は素晴らしいの一言。


なぜ仮面夫婦?それは、過去の女性を引きずっているから。
そんな彼が入院をきっかけにお金のやりくりに困る。
そして、過去を清算するために過去の女性に会いに行く。


なんか身近に夏目漱石が感じられます。
やはり、名作はやはりいつの時代にも心に響きます。
10年以上前に、原作を読んでいますが、もう忘れていました。
どきどきしながら読めました。

機動戦士ガンダムハイ・ストリーマー〈1〉アムロ篇

1988年に映画を見たときに感じたことが再度確認できます。
本当に見たかったシーンはここにあります。
劇中のシャアの周囲(味方の年寄り)に対する描写は、本当に不愉快(冷た)そうでした。
ただ、この感じかたは間違いではなかったということが確認できます。


地下に潜伏したクワトロ・バジーナ、今はシャア・アズナブルと名乗る男は反連邦組織に参加しその限界を知った。
そしてこの数年で、公国軍残党を掌握しネオジオン軍を組織した。
その動向を調査したのは連邦軍ロンド・ベル隊のアムロだった。


アムロ中心で、シャアとクエスがちょっと入ってくる感じ。
MSもまだ未完成だらけで、アムロは「ゼダ」、シャアは「プロトタイプサザビー」です。
エスの話でインドでの雰囲気が分かり、クリスチーナって誰?みたいな疑問にも答えが?(笑)もちろん新キャラも登場。




補足ですが、この小説は表紙や挿絵が久織ちまき氏によって全面的に書き下ろされています。
オリジナルのものは星野之宜氏が手がけていますが、こちらは非常に個性的なものになっています。
MSや戦艦、人物があまりに劇場版から乖離したもので、抵抗感のある人も多いと思います。
ですがこのリニューアル版は久織氏によって受け入れやすいデザインに変更されているので、気軽に読むことが出来るでしょう。

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

漫画家、よしながふみさんの対談集です。
私は、漫画が大好きでよく読んでいます。
しかし、作家さんはその倍以上!対談されている方も、情報量が半端なく多い。
そして、深く考えて作品を描いていらっしゃる。


羽海野チカさんとの対談は、原作者ゆえの葛藤と喜びについて深く語り合っており、自分のような素人にはちょっとキツメかもですが、対談冒頭の二人の馴れ初めについては、それこそ「ほほう」と感じ入りました。
ここは、是非現物のご一読をおススメします。
それから、様々な組み合わせをあげていくやおい談義は達人同士の立会のよう。


BLから入った人、少年まんがしか読まない人、少女まんががわからない人、或いは少女まんがを語りたがる男性陣、これを読んで、ちったあ啓蒙されるといいのではないでしょうか?かくいう自分もこれ読んで、まんがよりフェミについていろいろと思うところが。
上の世代みたいに怖いのはイヤですが、こういう立ち位置なら自分なりにことばにしてもいいなあ。
これ読んで、とりあえず「ハチクロ」読もうって気にもなりましたよ(笑)


しかし、この本の中には、あの頃同様、熱く漫画について語っている同年代の女子達がたくさんいて、久々に友達と熱い漫画論を語る気分になりました。
特に、「そうなんだよ!」と声を大にして同意したくなったのが、「男性が語る少女漫画論に違和感があった」というくだり。
夜中、ベッドで読んでいたのに、「そうだよ!」と叫びましたよ(笑)。


よかった。
羽海野チカさんもよしながふみさんも大好きな作家で、お二人が話している! というだけでどきどきしてしまう。
やまださんと福田さんとの座談会は「フリースタイル」で読んだときにも身悶えした内容。
BLを読み損ねたり、昔の少女漫画にくわしくない人にとっては、専門用語の連発が小さなハードルだと思うけど、注があるのでご安心を^^